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 過去5年間に未就学の幼児が歩行中に死亡するか重傷を負った交通事故で、幼児側の約4割に「飛び出し」があった。警察庁が事故の形態を分類し、発表した。約3割は「違反なし」だったが、約2割には「幼児のひとり歩き」があり、新学期を迎えて警察庁は注意を呼びかけている。

 過去5年間の統計では、歩行中に事故にあって死亡した幼児は44人で、重傷を負ったのは470人だった。

 小学生は29人が死亡し、1937人が重傷だった。形態別では「違反なし」が4割で最多で、「飛び出し」、「横断違反」が続いた。

 幼児は年齢が上がるごとに歩行中の事故が多くなり、児童は低学年ほど目立った。警察庁は、外を歩くことが増える年頃に事故が多くなっているとみる。

歩行中の死亡・重傷事故の形態

 警察庁はまた、小学生以下の子どもが歩行中に死亡するか重傷を負った交通事故について、現場の見通しの状況を初めて分析した。過去5年間でみると、見通しの悪い場所での事故が全体の1割で、全年齢と比べて3.8倍だった。

 小学生以下の事故で見通しに影響を与えたものは、「建物等」が38.3%で最多。次いで「駐・停車車両」35%、「渋滞車両」11.3%、「看板、樹木等」7.5%だった。全年齢では「雨、霧、雪等」も15.7%で目立った。

写真・図版
見通しに影響を与えたもの

 警察庁は15日、全国の通学路で一斉に交通安全の街頭指導を実施する。昨年までは全国一斉に取り締まりをしていたが、「スクールゾーン」などに侵入する通行禁止の違反が多く、子どもの安全を確保するため、今回は警察官が街頭に立って違反しそうな車両へ積極的に声かけをするという。

 警察庁は「違反があってから取り締まるのではなく、違反をさせないように取り組む」と話す。各都道府県警には取り締まりの件数の報告は求めず、年3回あった全国一斉の取り締まりは今後、なくしていくことを検討している。各警察での取り締まりは、今後も継続するという。(板倉大地)

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